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2008/02

2008年2月14日

宴は終わりました

2月11日、宝塚の「エル・アルコン」は無事に終了しました。さすがに千秋楽は、劇場内も熱気と興奮に包まれて、舞台の白熱度もこれまでで最高のように感じられました。30年前の作品を、これほど豪華で濃い舞台に甦らせていただけた事は、漫画家冥利に尽きる大事件でした。おまけに大入り袋までいただき光栄です。ティリアンを心底愛してくださった斉藤先生、本当にありがとうございました。寺嶋先生の素晴らしい音楽は、いつまでも恨めしいほど耳から離れません。そしてティリアンの悪の美学を、力強く美しく優雅にエロく切なく演じきってくださった安蘭けいさんに、心からの賛美と感謝を申し上げます。生きたティリアンに会えた驚きと感動は生涯忘れません。幸せでした。遠野あすかさんの美しい凛々しさと演技力は、私が漫画で女性を描写する上での養分にしたいと思います。伸びやかで華のある柚希礼音さんもレッドにぴったりでした(某御大が気に入ったらしいです)。星組の皆様、熱気溢れるご健闘を本当にありがとうございました。87名全員の生徒さん達からサインしていただいた公演プログラムは、一生の宝物にします。
岡野プロデューサーには大変お世話になりました。これからも星組を応援させてくださいね。

この三ヶ月の間は、まるで不思議の国のアリス(おばさん)な気分を味わいましたが、一流のプロフェッショナルの仕事を垣間見られて楽しかったです。世界は違っても沢山学ぶべきものがあり、興味深い事ばかりでした。スターは天上に輝く星であると、いろんな意味で再認識しました。
今まで一度も宝塚を観た事がなかった私の姉達、甥姪達もこの機会に観劇して、絢爛豪華な舞台にみんな大喜び。親戚孝行できたのが嬉しくもありがたい事でした。青池さんちの素敵な記念になりました。
というわけで宴も終わり、山積みしていた宝塚関連の諸々を整理箱に仕舞いこんで、さあ、通常運転に戻って仕事です。あ、でも、パソコンの壁紙はまだ当分TCAサイトからダウンロードした、赤い衣装の安蘭ティリアンさまです(笑)。

2008年2月9日

秋田書店「プリンセスGOLD」3+4月号

2008年2月16日(土)発売 定価600円
アルカサルー王城ー・外伝「公爵夫人の記」
表紙&巻頭カラー60ページ掲載

2008年2月9日

三週間ぶりの観劇

仕事が終わったので宝塚観劇をしてきました。久しぶりだったので、とても新鮮で、終盤に入った皆さんの大熱演に感動も新たに陶酔してきました。あとは千秋楽に行くだけなので、こちらはすでに見納めモード。お名残惜しくて少々涙腺がゆるんでしまいました。ティリアンもギルダもレッドも素晴らしいです。とくに安蘭さんの歌唱力、声の艶やかさは超人的です。某男性編集者が観劇した後、原作の単行本を読み返したら、ティリアンの台詞が安蘭さんの声で聞こえてくるんですよ、と言っていましたが(笑)、声と音楽の力は恐るべきものがあります。
私はいつもは無音環境でネームを作るのですが、今回は油断すると「七つの海が〜」が脳内に侵入してあらぬ方向に思考を引っ張られるので、仕事に集中するためにオペラをがんがん流して、ドニゼッティの「マリア・パディリャ」の漬物状態になっていました(笑)。ドン・ペドロにしては老けたバリトン声が渋いランカスター公にぴったりで、若妻コンスタンシアと歌っているという設定に妄想して(イタリア語ですが)、仕事中はアルカサル・外伝の世界に没頭していたのでした。仕事を終えて解禁したら、今は「七つの海が〜」「エ〜ル・アルコ〜ン」「オルキス〜」「ドン・ペ〜ドロ〜」のわやわやな脳内音楽が展開しています(汗)。今月末までの短編は中世の坊さん(アレじゃないよ)なので、どうやって集中しようかと悩んでいます(グレゴリオ聖歌はもっとやばい。寝てしまう)。

今日は久しぶりに友人Hさんと晩御飯。思えば昨年の11月初旬に宝塚大劇場に行った時の「エル・アルコン・クッキー」のおみやげを渡した日以来、三ヶ月ぶり。あれから三ヶ月。長いようで短いような、煌びやかな祝祭期間だったなあ、としみじみ感慨深く思っています。明後日で終わりです。


2008年2月6日

やっと60頁完成しました

昨年末から続いていた仕事がやっと終わりました。締め切りに向かっての数週間はほとんどお篭り状態で、パソコン部屋のオイル・ヒーターが壊れて冷蔵庫化しても、電気屋を呼ぶ余裕もなくそのまま放置。寒がりながら久しぶりの日記を書いています。どうもご無沙汰いたしました。

「アルカサル」の外伝の初っ端はコンスタンシアの英国生活。なにしろ夫のジョン・オブ・ゴーントの活動量がものすごく、これだけでも普通に描けば10年はかかりそうな濃ゆ〜い人生なので、またしてもぎゅうぎゅう詰めの(ネームだらけの)60頁になってしまいました。
できるだけ平明に描くように努めましたので、頑張って読んでいただけると嬉しいです。スペイン側の資料で描いた前作と、英国側の資料で描いた今回のとで合わせて読むと、当時の歴史がより立体的に楽しめるのではないかと思っています。16日の発売をお楽しみにお待ちくださいね。

完成原稿を取りにきたS担当氏が、宝塚版「エル・アルコン」のDVD見本盤を持ってきたので、アシさんたちと仕事明けの晩御飯の時に見ることができました。いろんな角度から撮っているので、劇場で観るのと違う楽しさがありました。私にはずっと以前から、ティリアンのロン毛がマルティン・ロぺスを黒髪にしたように見えるよと言ったら、アシさん、鼻血ぶー(笑)。ロペスによく似た感じでとっても素敵です。
東京宝塚劇場には、萩尾さんや木原さんも観に行ってくれて、感想のお電話をいただきました。「ジパング」の御大も生まれて初めて宝塚をご覧になって、楽しんでくださったようで、よかったよかった。(レビューの網タイツの太ももの群れは、おじさんには眼福ですよね(笑))私は仕事の追い込みであまり観に行けなくて残念でしたが、来週の千秋楽まで、星組の皆さまどうぞ頑張ってくださいませ。

外伝の大仕事を終えたあと、某談社のT担当氏から面白そうな短編のお誘いがあったので、つい引き受けて今月末までの仕事を増やしてしまった。詳細はまたのちほど。ごく短くて楽しいものになる予定です。