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日記

2007/06

2007年6月30日

インタビュー記事

「アルカサル」完結編のご感想が沢山寄せられて感謝感激です。ご自分の人生と重ね合わせる方々もあり、味わい深く拝読しています。完結させるまでの長い間には紆余曲折があったけれど、作家冥利につきる幸せな作品になったといえましょう。読んで下さって本当にありがとうございます。
なお、作品の完結について、朝日新聞のニュースサイトにインタビュー記事が掲載されましたのでお知らせします。asahi.comの文化芸能から文化一般に入って見てくださいね。
そこでも言っていますが、あんなに泣きながら描いたくせに、王様たちはまだ私の中でしつこく生きているようです。感慨に浸る暇もなく、次から次に仕事をしているせいかなあ?とも思いますが、自分でも不思議な感覚です。というのが現在の心境。前後編にまとめるために泣く泣く削った面白いエピソードが沢山あったので、(コンスタンシアの英国生活、エンリケさんちの家庭内紛争など)機会があれば外伝を描くかも…?なので膨大な資料はまだ片付けられませんです。
単行本の13巻目は9月発売の予定です。12巻以降の未収録分と、今回の前後編と合わせて300数ページの厚さになります。次号のGOLD誌の付録になる番外編の「アンヘラの飛翔」は残念ながら頁数の関係で13巻には入りません。思えば、この作品を最後に掲載誌が休刊になって、13年間の空白が始まったのでした。簡単に言うと王様の浮気の話なんですけど…(笑)。

2007年6月10日

お久しぶりです

やっと日記に書き込む余裕ができました。長い間ご無沙汰しまして申し訳ありません。
先週「アルカサル」後編100頁無事入稿。今週末の土曜日発売号を待つばかりになりました。
25年前に王の存在を知り、「プリンセス」で連載を起こしたのが24年前。思えば長い旅路でしたが、なんとか完結させることが出来ました。今は膨大な借金を完済した気分です(笑)。
世界史好きな私としては、手垢のついた有名人などを取り上げるよりは、まだほとんど知られていない人物を掘り起こす事に作家魂を燃やし、教科書でも全く素通りされる時代を、多少は読者に紹介できたことが何よりも嬉しいです。19世紀に苦労して史伝を書上げたメリメ様もお喜びかなと、おこがましく思ってみたりして…。
後編100頁は王の死後19年にわたる展開で、難解なスペインの歴史書と格闘して、風呂桶いっぱいの水をペットボトル一本に収めるという力技で必死にまとめましたが、押さえる所は押さえたつもりなので、歴史の流れを俯瞰して読んで頂ければありがたいです。600年前の人達はみんな死んでいるとはいえ、私の作品で死亡率100%は後にも先にもこれだけです。ただ、王が死んで悲しや、諸行無常の響きありとはならないところが、西洋史のしぶとさというか、タフな面白さだと思います。後編では女性たちが活躍します。誰がどんな役割を果たすかお楽しみに。編集長と担当者は今回も涙してくださり、アシさん達は悲しい場面なのになぜか萌えまくり(?)でした。

20年前から思い描いていた「完」の頁が、イメージ通りに出来上がった時には、さすがに感無量でした。アシさんたちがこっそりお花を買って隠しておいたのを、最後の原稿を担当者が持って出て行った後に、私にプレゼントしてくれた時には、思わず涙が出てしまいました。完成できたのも長丁場頑張ってくれたアシさんたちのお陰です。この場でお礼を言わせてください。本当にご苦労様でした。

大仕事の余韻に浸る暇もなく、仕事明けに一日倒れていただけで、翌日から今まで止まっていた企画が次々に押し寄せてきて打ち合わせの連続。これらについては、後日改めてご報告しますね。取り合えず、半年の間に少佐のようにぼうぼうに伸びた髪の毛を切りに、近所の美容院に行かねばというところです(笑)。