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日記

2007年2月11日

歴史的事実について

「アルカサル」完結編の前に、読者の方々が行く末を様々に案じられているようですね。
どうやら王の娘が英国王族の愛人にされるという小説があるらしいのですが、私も周辺の歴史好きもその小説を読んでいないので、何とも言えませんが、ただ、正統な王の血統はそんな安価なものではない事を知っておいてくださいね。。王女達の結婚は英国王室の系図にも記されており、その子供や子孫はスペインでも英国でも重要な役割を果たしています。王が死んですべてがチャラというほど、歴史は単純ではありませんし、交錯する流れのダイナミズムが歴史の面白いところです。
庶子の王位簒奪という極めて特異な成立基盤をもつトラスタマラ王朝は、当然ながらその正統性を疑われて幾度も危機に陥りますが、結局は二代目で、正統な王の血統を得て安定を図る、という政策を執らざるを得なくなったわけです。その辺の流れは後編で描きます。そこまで歴史を追わなければペドロ王の物語は終わらないと思うので。ですから、百年後の名君イサベル女王にもペドロ王の血は流れている事になります。断片的な情報による誤解もあるようなので、ネタバレを恐れずに歴史的な事柄を書かせていただきました。
こちらも何種類かの資料を付き合わせて創作していますが、歴史的事実を重んじながらも、少女漫画として綺麗な形でまとめたいと思っています。
後編の末尾で、主要参考資料をご紹介しますので(メリメ以外はスペイン語の学術書と伝記です。すいません)、より深く正しく知りたい方は歯を食いしばって挑戦してみてください。
なにせ600年前のこと、とどのつまりは「お前はそれを見たのか?」(by副院長)になるわけですけど。